PiD zine

PiD zineはプロダクト・インテリアデザイン学科の今をつたえるブログです。

2013.06.24

研究室便り

【研究室便り】ワークショップという「協業」の場づくり

昨日に引き続き、ふらんそわ がお送りいたします。

 昨日はAgriculture+プロジェクトの取り組みから「経験値」について、お話をしてみました。今日の話題は、「協業」についてです。
 曽和研究室では、毎年、いろんな所でワークショップを開催したり、あるいは参加したりしています。その中でも、子どものワークショップ設計には、特に力を入れています。
 今回ご紹介するのは、こべっこランド(神戸市中央区)で行っている、「親子で作ろう!動くおもちゃ作り!!」についてです。
さっそく、問題!

■ヒトが見て、「かわいい!!」と思うことのできる「動き」をデザインしなさい。

いくつ思い浮かびますか? そして、その動きをどうやって作りますか?
「かわいいカタチをデザインしなさい」であると、アイデアスケッチをすることでいくつかの解答を出すことができるでしょう。もちろん、カタチを考えることも簡単なことではないのですが、これに「動き」が加わると、デザインの難しさは飛躍的にアップします。なぜなら、動きを伴うものには必ず、それがどのように動くのかという「機構」の問題を避けて通れないからです。
 例えば、かわいい動きをするものとして「猫のしっぽ」を思いついたとします。スケッチでしっぽを描くことは、さほど難しいことではありません。ところが、このしっぽを「動かす」となると、さて、どうすれば動かすことができるのか・・・。考えただけでも、何から考えていいのか、分からなくなりますね。
 動きの中身になると、どうしても、工学的、数学的な思考が必要だと思われがちです。「デザインとは関係ない!」と言い切れたなら、どんなにデザイナーは楽なことか。さけて通れるものなら、通りたいような難問。
 ところが、実は「動きをデザインする」ことは、それほど難しいことではありません。正確に言うと「動きをデザインする」ためのアイデアを見つけ出すパートナーと手を組むことで、動きのデザインアイデアは、飛躍的に増加するのです。
 では、その「パートナー」とは誰なのか?
 答えは「こどもたち」です。

 子どもは、ある問題を解決するとき、手段を選びません。手段を選ばないとは、無茶をするということではなくて、あらゆる可能性を探るということです。
この写真を見てください。

これは、ある子どもが作った「着せ替え型ロボット」です。8種類の着せ替え外殻を作り、動くおもちゃの表情にレパートリを持たせてあります。驚くべきはその動きで、着せ替えた外殻によって、ロボット(動くおもちゃ)の動きが全く違うことです。お尻を大きく振って、アヒルのように動く外殻もあれば、フワフワと鶴が舞っているように見える外殻もあります。違いはどこから生まれたのか。
 一つは、外殻に乗せてある丸いボンボンの大きさ、そしてもう一つは、ロボットを動かすモーターの回転時間を変えたプログラミングなのです。
 この作品を作った子どもは、あらかじめ、こうなることを予想して作ったのではありません。ただ、何度も何度もトライして、ボンボンの大きさと回転時間を変化させていったのです。
 無限と思われるさまざまな問題も、いくつかトライすることで、意外に単純な法則で成り立っている、ということがアイデア発想のときにはよくあります。ここで大切なことは、子どもたちのように、純粋にアイデアをプロトタイピングできるかどうかということです。
 「問題解決に手段を選ばない」とはつまり、「アイデアをそのままカタチにする努力を惜しまない」ということなのです。
 問題を解決するとき、知らず知らずの間に私たちは、自分の持っている「経験値」の中から解決方法を捜そうとします。アイデアスケッチというアイデア出し手法を「経験値」として習得した人は、常に「アイデアスケッチ」から問題を解決しようとします。アイデアスケッチが悪い、という訳ではありません。「動きのデザイン」を考えるときには「アイデアスケッチ」は問題を解決する手段として適さない、ということにいち早く気がつき、新しい問題解決方法を創り出していくことができるか。子どもから学ぶべき部分は、ここにあります。
 子どもたちと「協業」することで、アイデア発想のプロセスに多くのチャンネルを持たせること。子どものワークショップに参加することは、自分の思考プロセスを更新する機会にもなる訳です。 June 15, 2013. written by francSowar.